昭和の戦争を読む / 俯瞰マトリクス / 特攻

特攻 1944-1945

組織が個人の死を作戦にした。

証言収集で読む

特攻隊振武寮
大貫健一郎・渡辺考

特攻隊振武寮 帰還兵は地獄を見た

大貫健一郎・渡辺考|朝日文庫(2018年)

機体の不調などで生きて還った陸軍特攻隊員を収容した福岡の施設を扱う。生還した隊員が上官から暴力と叱責を受け、再出撃へ追い込まれた実態を、当事者である元隊員の証言をもとに記録する。

海の特攻「回天」
宮本雅史

海の特攻「回天」

宮本雅史|角川ソフィア文庫(2011年)

人間魚雷「回天」の開発経緯と搭乗員を扱う。軍令部を動かして開発に着手した士官から、志願した十代の搭乗員まで、日記・手紙と元搭乗員・遺族の証言でたどる。航空特攻の陰に置かれがちな海の特攻を知る一冊。

叙述・語り部で読む

特攻 戦争と日本人
栗原俊雄

特攻 戦争と日本人

栗原俊雄|中公新書(2015年)

特攻の発生から実態、そして戦後にどう語られてきたかまでを一続きに通観する。公刊戦史と取材を突き合わせ、作戦の効果や立案に関わった者たちの戦後の言動にも触れる。航空特攻に限らず桜花・回天も扱う。

実証史学で読む

特攻隊員の現実
一ノ瀬俊也

特攻隊員の現実

一ノ瀬俊也|講談社現代新書(2020年)

体当たり兵器に乗った若者が何を考えていたかを、隊員の心情・軍上層部とメディアの意図・国民の受け止めという三方向から検証する。個人の悲劇としてだけでなく、それを支えた社会の側も分析対象に含める。

当事者手記で読む

戦艦大和ノ最期
吉田満

戦艦大和ノ最期

吉田満|講談社文芸文庫

1945年4月、沖縄水上特攻に出た戦艦大和の出撃から撃沈、漂流、生還までを、副電測士として乗艦した学徒出身の少尉が文語体で記録した。初稿は占領期の検閲で全文削除され、公刊まで長い時間を要した。

きけ わだつみのこえ
日本戦没学生記念会 編

新版 きけ わだつみのこえ 日本戦没学生の手記

日本戦没学生記念会 編|岩波文庫(1995年新版)

学徒出陣で戦没した学生たちの日記・手紙・遺書を集めた遺稿集。編者の解説ではなく本人の言葉がそのまま並ぶ。戦後日本で最も広く読まれた一次資料のひとつで、このサイトでは「原典」としても位置づけている。

組織論・教訓で読む

「空気」の研究
山本七平

「空気」の研究

山本七平|文春文庫 新装版(2018年)

戦艦大和の特攻出撃は「空気」で決まった——データも合理も超えて日本の意思決定を支配する「空気」の正体を論じた古典。戦争の本であると同時に、現代の会議室の本でもある。

特攻の思想
草柳大蔵

特攻の思想 大西瀧治郎伝

草柳大蔵|文春学藝ライブラリー(2020年)

特攻を発動した海軍中将・大西瀧治郎の評伝。「外道の統率」と自認しながら、なぜその作戦が組織の決定として通ったのかを、戦況と軍内の力学から分析する。命じた側の論理を正面から扱った一冊。

記録文学で読む

今日われ生きてあり
神坂次郎

今日われ生きてあり 知覧特別攻撃隊員たちの軌跡

神坂次郎|新潮文庫(2019年第2版)

知覧の特攻基地から出撃した隊員19人を、本人の日記・手紙・遺書と、家族や基地周辺の人々への取材から再構成する。作戦や組織ではなく、隊員ひとりずつの生活と言葉に焦点を当てた記録文学。

指揮官たちの特攻
城山三郎

指揮官たちの特攻 幸福は花びらのごとく

城山三郎|新潮文庫(2004年)

神風特攻第一号として出撃した関行男大尉と、敗戦後に最後の出撃をした中津留達雄大尉。海軍兵学校の同期だった二人を対に置き、命じられながら部下を送り出す立場でもあった現場指揮官の生涯を追う。