昭和の戦争を読む俯瞰マトリクス / 南方消耗戦

南方消耗戦 1942-1945

ガダルカナル・ラバウル・インパール・比島持久戦。

証言収集で読む

戦場体験者
保阪正康

戦場体験者 沈黙の記録

保阪正康|ちくま文庫

40年の聞き取りの中で、元兵士たちが「語らなかったこと」——加害・慰安所・戦犯——に向き合った記録。証言収集という方法の到達点であり、限界と沈黙まで含めて書かれている。

実証史学で読む

日本軍兵士
吉田裕

日本軍兵士 アジア・太平洋戦争の現実

吉田裕|中公新書

戦没者の9割が1944年以降に集中する——餓死・海没死・戦病死の統計から、兵士たちが実際に何で死んだのかを立証する。「戦闘で死んだ」という通念を数字で覆した現代の必読書。続編『続・日本軍兵士』も2025年刊。

当事者手記で読む

俘虜記
大岡昇平

俘虜記

大岡昇平|新潮文庫

ミンドロ島で米兵を「撃たなかった」自分はなぜ撃たなかったのか——捕虜となった知識人が、自らの内面を執拗に観察した手記。戦争文学の出発点に置かれる一冊。

野火
大岡昇平

野火

大岡昇平|新潮文庫

敗走する比島戦線で部隊を追われた一等兵が、飢餓の果てに人肉食の淵へ追い込まれていく。体験を素材に、極限の人間を描き切った小説。『レイテ戦記』と対で読むと戦史と個の両極が見える。

ミンドロ島ふたたび
大岡昇平

ミンドロ島ふたたび

大岡昇平|中公文庫(改版2016年)

戦後22年、生き残った著者がかつての戦場ミンドロ島を再訪する。死んだ戦友と生き残った自分——当事者の「戦後」がどういう時間だったかを伝える慰霊の紀行。

総員玉砕せよ!
水木しげる

総員玉砕せよ!

水木しげる|講談社文庫/新装完全版

1945年3月、ニューブリテン島バイエンで「玉砕」を命じられた部隊の最期を、生き残った著者が漫画で描く。9割は事実と語られる、兵卒の目から見た玉砕の記録。

ラバウル戦記
水木しげる

水木しげるのラバウル戦記

水木しげる|ちくま文庫

ラバウル戦線での日々をスケッチと文章で綴った従軍記。玉砕戦の生き残りとして、また片腕を失った当事者として、戦場の生活と死の距離感を淡々と記録する。

組織論・教訓で読む

一下級将校の見た帝国陸軍
山本七平

一下級将校の見た帝国陸軍

山本七平|文春文庫

北部ルソンの敗走を体験した砲兵少尉が、帝国陸軍という組織の欺瞞と崩壊を内側から記録・分析する。体験記でありながら組織論として読める、前線から見た「失敗の本質」。

私の中の日本軍
山本七平

私の中の日本軍(上・下)

山本七平|文春学藝ライブラリー(2022年)

自身の軍隊体験を手がかりに、戦後に流布した「戦争伝説」を検証する。百人斬り論争をはじめ、戦争がどう語られ、どう歪むかを当事者の記憶から問うた論争的な仕事。

失敗の本質
『失敗の本質』著者陣

失敗の本質 日本軍の組織論的研究

『失敗の本質』著者陣|中公文庫 改版(2024年・あとがき新収録)

ノモンハン・ミッドウェー・ガダルカナル・インパール・レイテ・沖縄。6つの敗北を「日本軍という組織の失敗」として分析した組織論の古典。このサイトでは6局面すべてに架かるハブとして、各局面の個別の本と対で読める。

記録文学で読む

深海の使者
吉村昭

深海の使者

吉村昭|文春文庫 新装版(2011年)

制海権を失った日本とドイツを結ぶ手段は潜水艦しかなかった。遣独潜水艦作戦という戦史の隅の事実を掘り起こし、乗員たちの往還を追った異色の記録。

この局面の空白: 叙述・語り部では、まだこの局面を収録していません。 「南方消耗戦」がその書き方では語られてこなかったのか、選書がまだ追いついていないのか——余白として明示しています。